足が流れて走る原因と対策|スプリント動作を改善する方法
- 森 雅昭(スポーツ家庭教師/かけっこ走り方教室/体操教室枚方市)
- 2月24日
- 読了時間: 4分
足が流れて走る原因と対策|スプリント動作を改善する方法
短距離走において、「足が流れる」ことはスピードを落とす大きな要因になります。足が流れるとは、地面を蹴った後に脚が無駄に後方へ伸びすぎてしまい、次の一歩が遅れる現象のことです。これが続くと、加速力や最高速度の維持が難しくなり、結果的にタイムの伸び悩みにつながります。
本記事では、足が流れる原因とその具体的な対策について詳しく解説します。
1. 足が流れる原因
① 蹴りすぎによるオーバーストライド
足が流れる原因の一つが、地面を強く蹴りすぎてしまうことです。
「速く走るには大きく蹴らなければならない」と思いがちですが、強く蹴ることで脚が後方へ過剰に伸びてしまい、次の一歩に移るのが遅くなります。これがオーバーストライドの状態です。
② ハムストリングスの筋力不足
ハムストリングス(太ももの裏の筋肉)は、脚を後ろから前へ素早く引き戻す役割を担っています。この筋力が弱いと、足が後ろで流れてしまい、効率的な走りができません。
③ 股関節の可動域不足
スプリントでは、膝を素早く引き上げる動作(ニーアップ)が重要ですが、股関節の可動域が狭いと脚をスムーズに前へ戻せず、足が流れやすくなります。
④ 体の前傾角度が適切でない
適切な前傾姿勢を維持できないと、脚の動きが後方に流れやすくなります。特に上半身が起きすぎると、足を後ろに蹴る動作が強調され、流れる動作を引き起こします。
⑤ もも裏の柔軟性不足
ハムストリングスの柔軟性が低いと、蹴った後に脚をスムーズに前へ引き戻すことができず、結果として足が後方へ流れてしまいます。
2. 足が流れないための対策
① 「真下に踏む」意識を持つ
足が流れる選手は、地面を後ろへ蹴る意識が強くなりがちです。これを防ぐためには、「真下に踏み込む」感覚を身につけることが重要です。
【練習方法】
• その場でのもも上げドリル
• ももを素早く上げ、足を地面に真下に下ろす練習を行う。
• 10秒間の高速もも上げを3セット。
• スキップドリル
• 片足ずつ素早く踏み込むことで、適切な接地感覚を養う。
② ハムストリングスを強化する
ハムストリングスの筋力を向上させることで、蹴りすぎを防ぎ、脚を素早く前へ戻すことが可能になります。
【おすすめの筋トレ】
• ノルディックハムストリングカール
• 膝をついて、ゆっくり前へ倒れる動作を行う。
• 10回×3セット。
• レッグカールマシン
• ジムにあるレッグカールマシンを使ってハムストリングスを鍛える。
③ 股関節の可動域を広げる
股関節の可動域を広げることで、脚の前後の動きがスムーズになり、足が流れるのを防ぐことができます。
【おすすめのストレッチ】
• ダイナミックランジ(前後の動きを大きく使う)
• 10回×2セット。
• 股関節回しストレッチ
• 仰向けになり、片膝を胸に引き寄せながら回す。
④ 体の前傾角度を適正化する
スプリント時の理想的な前傾姿勢を維持することで、脚が流れずに前方への推進力を高められます。
【姿勢改善のポイント】
• 腰を反らずに、股関節から前傾する。
• 背中を丸めず、胸を張る。
• ドリル練習として坂道ダッシュを取り入れる(坂を使うことで自然に前傾姿勢を学べる)。
⑤ ハムストリングスの柔軟性を向上させる
もも裏の柔軟性を高めることで、スムーズな脚のリカバリーが可能になります。
【おすすめのストレッチ】
• スタティックストレッチ(静的ストレッチ)
• 座って片足を伸ばし、つま先に手を伸ばすストレッチ。
• 30秒×2セット。
• ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)
• 立った状態で前後に脚を振る「レッグスイング」。
• 片足10回×2セット。
3. 実践的な改善トレーニング
(1) ミニハードルドリル
ミニハードルを使ったドリルは、足が流れるのを防ぐのに効果的です。
【やり方】
• ミニハードルを等間隔に置き、リズムよく駆け抜ける。
• 高いピッチで、接地時間を短くすることを意識する。
(2) ショートスプリント(30mダッシュ)
短い距離で爆発的に加速する練習を行うことで、正しい足の動きを身につけられます。
【ポイント】
• スタート時の前傾姿勢を意識する。
• 地面を後ろに蹴らず、真下に踏むことを徹底する。
(3) バウンディング
バウンディング(大きく跳ねるような走り)を取り入れることで、適切なストライドと接地感覚を養うことができます。
4. まとめ
足が流れてしまう原因は、「蹴りすぎ」「ハムストリングスの筋力不足」「股関節の可動域不足」「姿勢の崩れ」「柔軟性不足」などが挙げられます。
これを改善するためには、
• 「真下に踏む」意識を持つ
• ハムストリングスの強化
• 股関節の柔軟性向上
• 前傾姿勢の維持
• 実践的なドリル練習
といった対策が効果的です。
これらのトレーニングを継続することで、足の流れを抑え、より速く効率的に走れるフォームを身につけましょう!
Comments