走るときに足が上がらないのは、腰が高いからかも?|スピードを引き出すフォーム改善のヒント
- 森 雅昭(スポーツ家庭教師/かけっこ走り方教室/体操教室枚方市)
- 4月7日
- 読了時間: 4分
「もっと足を上げて!」「ももをしっかり引き上げて!」
かけっこや短距離走で、こんな声を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
しかし、いくら頑張って足を上げようとしても、なんだか重たい…うまく前に出ない…そんな悩みを抱えている方に、今回お伝えしたいのが、「腰の高さ」についての視点です。
もしかすると、その“足が上がらない”原因は「腰が高すぎるフォーム」にあるかもしれません。この記事では、走りにおける「腰の高さ」と「足の上がりやすさ」の関係について詳しく解説し、誰でもすぐに取り入れられる改善ポイントをご紹介します。
1. 足が上がらない原因は“力みすぎたフォーム”にあるかも?
走るときに足が上がらない、ももが前に出ないという悩みは、スピードを出したいときに特に大きな壁になります。
そのとき、よくある原因のひとつが、「フォームが上ずっている」状態です。つまり、腰の位置が高く、全身が上に引き上がるような走り方になってしまっているケースです。
このようなフォームでは、身体が上下に揺れやすく、脚を動かす余裕がなくなってしまいます。股関節まわりが詰まり、自然な脚の振り出しが妨げられ、結果として「足が重い」と感じるようになるのです。
2. 腰を“少し低く”すると、膝が自然と前に出る
では、どうすれば改善できるのでしょうか?
ポイントは、腰の位置をほんの少しだけ下げることです。「しゃがむ」というよりは、「おへその位置を数センチ下に意識する」ような感覚です。
このように腰の位置を少し低くすることで、以下のような効果が期待できます。
• 股関節の可動域が広がり、ももが前に出やすくなる
• 膝の動きが自然になり、足が軽く感じる
• 地面を押す力が強まり、推進力が上がる
• 上下動が減り、スムーズな加速ができる
とくに「膝が自然と前に出る」感覚は、無理に足を上げようとしなくても、スピードに乗った走りができるようになる重要なポイントです。
3. なぜ腰が高いと足が動かなくなるのか?
ここで一度、身体の仕組みからも見てみましょう。
腰が高い走り方というのは、骨盤が前傾しすぎていたり、背筋を張りすぎていたりして、重心が上に浮いている状態です。すると…
• 股関節が硬くなり、可動域が狭くなる
• 太ももを上げようとしても詰まった感じになる
• お尻や腰に力が入りすぎて、動きがぎこちなくなる
このような状態では、前に進むための脚の動作がとても非効率になり、ストライド(歩幅)も伸びません。逆に、腰を少し低く保つことで、股関節まわりに余裕ができ、脚がスムーズに前に出るようになるのです。
4. 腰を低く保つための簡単な実践トレーニング
ここでは、腰の位置を適切に保ち、足が上がりやすくなるための簡単な方法をご紹介します。
(1)ジャンプ&着地で姿勢確認
軽くジャンプして、そのまま着地した姿勢をキープしてみましょう。すると、自然と少し腰が落ちたリラックスした姿勢になります。この状態が、地面をしっかりとらえやすく、力が入りすぎない「走りやすい姿勢」です。
(2)軽いスクワットで股関節をゆるめる
走り出す前に、浅くスクワットを1〜2回してみましょう。重心が後ろに移動し、腰がほんのり下がります。この動作によって股関節がゆるみ、脚が前に出しやすくなります。
(3)「ももを上げる」ではなく「膝を前に出す」意識に
走っているときに、「足を上げよう」「ももを引き上げよう」と意識すると、逆に力が入りすぎてしまいます。意識するのは「膝を前に出す」こと。こうすることで、腰が高くなりすぎず、スムーズな足の振り出しができるようになります。
5. 子どもにもおすすめ!腰の高さを変えるだけで速くなる
この腰の高さの意識は、大人だけでなく、子どもたちにもとても効果的です。
とくに、運動会やかけっこで「どうしても足が遅い」「頑張っているのに前に進まない」と悩んでいる子どもにとって、走るときの「腰の位置」を変えるだけで劇的に変わることもあります。
子どもたちは「足を高く上げる」「もっと速く!」という声に対して、全身を力ませてしまいがちです。そんなときは、ちょっと膝を曲げて、ジャンプして着地したような姿勢でスタートしてみてください。動きがスッと軽くなり、自然とスピードが出るようになります。
まとめ|「腰を下げる」は足を上げる第一歩
足が上がらないとき、多くの人が「足を頑張って上げよう」と考えます。しかし、その前に見直すべきは、「腰の高さ」です。
腰が高すぎると、股関節の動きが制限され、足が重く感じられてしまいます。逆に、ほんの少し腰を低く保つだけで、脚は自然と前に出やすくなり、スムーズなスピード走が可能になります。
子どもから大人まで、誰でも今日から実践できるこの改善ポイント。ぜひ一度、自分の走りを見直して、より軽やかで速い走りを目指してみてください。
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