この走り方は危険!タイムが落ちる理由とは?
- 森 雅昭(スポーツ家庭教師/かけっこ走り方教室/体操教室枚方市)
- 3月23日
- 読了時間: 5分
短距離走や競技スポーツにおいて、走り方は記録を大きく左右します。しかし、間違った走り方を続けると、単にタイムが落ちるだけでなく、ケガのリスクも高まります。今回は、「危険な走り方」とその理由について、さまざまな角度から分析し、どのように改善すべきかを解説します。
1. フォームの崩れがタイムに与える影響
① 体が上下にブレる走り方
走っているときに体が上下に大きく揺れると、前への推進力が弱まり、無駄なエネルギー消費が増えます。特に、ジャンプするような走り方は危険で、ストライド(歩幅)を大きく取ろうとして無理に跳ねると、着地時の衝撃が増し、ケガの原因にもなります。
改善策:
• 膝を無理に高く上げすぎず、地面を押す意識を持つ。
• 頭の高さを一定に保ち、ムダな上下動をなくす。
② 猫背や過度な前傾姿勢
姿勢が悪いと、スムーズな足運びができず、ストライドやピッチ(回転数)にも悪影響を及ぼします。特に、猫背の状態で走ると腕振りが制限され、結果的にタイムが落ちます。逆に、前傾しすぎると重心が前に行きすぎて、ブレーキがかかる動きになってしまいます。
改善策:
• 背筋を伸ばし、適度な前傾姿勢を意識する(5〜10度が理想)。
• 骨盤を立てる意識を持ち、上半身と下半身の連動を意識する。
2. 足の着地位置によるブレーキ効果
① かかと着地のデメリット
長距離走では効率的とされる「かかと着地」ですが、短距離走では致命的なミスになります。かかとから着地すると、接地時間が長くなり、地面からの反発力を活かしにくくなります。また、前方へのブレーキがかかるため、スピードが落ちてしまいます。
改善策:
• 短距離では「つま先寄り」で地面に接地し、反発を利用する。
• 接地時間を短くし、地面を素早く押し出す意識を持つ。
② ストライドを無理に広げすぎる
ストライドを広げようとして、前に足を投げ出すような走り方になると、ブレーキがかかります。これは「オーバーストライド」と呼ばれ、かえってスピードが落ちる原因になります。
改善策:
• 自然なストライドを意識し、脚を前に出すのではなく、地面を後ろに押す感覚を持つ。
• ハムストリング(太もも裏)を使って、スムーズな脚の回転を意識する。
3. 腕の振りが走りに与える影響
① 腕振りが小さい or 大きすぎる
腕振りが小さいと、下半身との連動がうまくいかず、スピードが出ません。逆に、大きく振りすぎるとバランスが崩れ、無駄なエネルギーを消費してしまいます。
改善策:
• 肘を約90度に保ち、リズムよく振る。
• 肩に力を入れず、リラックスした状態で腕を振る。
② 横振りになってしまう
腕を前後ではなく、横に振ってしまうと、体がねじれ、エネルギーのロスが発生します。これにより、推進力が低下し、結果的にタイムが落ちます。
改善策:
• 腕は「前後」に振ることを意識し、体幹を安定させる。
• ミラーでフォームを確認しながら、正しい動きを習慣化する。
4. 筋力不足・柔軟性不足による影響
① 体幹が弱いとブレやすい
体幹が弱いと、走る際に体がブレやすくなり、エネルギーのロスが大きくなります。特に後半で疲れてくると、フォームが崩れやすくなります。
改善策:
• プランクやサイドプランクで体幹を鍛える。
• 軸を意識したトレーニング(片足スクワットなど)を取り入れる。
② 柔軟性不足がスピードを制限する
股関節やハムストリングが硬いと、ストライドが狭くなり、十分な蹴り出しができません。特に太もも裏が硬いと、膝がスムーズに上がらず、結果的に走りの効率が悪くなります。
改善策:
• ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)を行い、可動域を広げる。
• ハムストリングや腸腰筋のストレッチを習慣化する。
5. メンタルの影響も無視できない
① 焦りや緊張でフォームが崩れる
「速く走らなければ」というプレッシャーがかかると、筋肉が緊張し、本来のフォームが崩れやすくなります。特に、スタート時に焦ると、上半身に力が入りすぎ、スムーズな加速ができなくなります。
改善策:
• 深呼吸やルーティンを取り入れ、リラックスした状態でスタートに臨む。
• 日頃からメンタルトレーニングを行い、プレッシャーに強くなる。
② 疲労や集中力低下がタイムを悪化させる
疲労が蓄積すると、集中力が低下し、正しいフォームを維持できなくなります。また、睡眠不足や栄養不足も影響を与えます。
改善策:
• 十分な休息をとり、トレーニング後の回復を意識する。
• バランスの取れた食事を心がけ、エネルギー切れを防ぐ。
まとめ
「走り方のミス」は、単にタイムが落ちるだけでなく、ケガにもつながる危険があります。
今回紹介したポイントをまとめると、以下のようになります。
✅ 無駄な上下動をなくす(スムーズな前進を意識)
✅ 適度な前傾姿勢をキープする(猫背や過度な前傾を避ける)
✅ つま先寄りの接地を意識する(かかと着地はブレーキになる)
✅ 腕は前後に振る(横振りはエネルギーロス)
✅ 体幹を鍛え、フォームを安定させる
✅ 柔軟性を高め、可動域を広げる
✅ メンタル管理も重要(焦りや緊張でフォームが乱れないようにする)
正しいフォームを習得し、最適な走り方を身につけましょう!
Comments